
座右の書として愛読しているナポレオン・ヒルの伝説の書籍、『悪魔の習慣を断ち切れ』をレビューします。今回で最終回です。
内容的には第二部にはいり、人生の望みを叶えるための7つの原則に関して話を進めることになります。今回は第4原則から。
・第4原則:環境(仏教的な縁にあたるもの)
人間の運命に大きく影響を与えるものとして、ヒル博士は環境をあげる。仏教で言うところの縁だ。おどろくほど釈迦と同じようなことを言っているのがわかる。
ヒル博士:環境の最も重要な要素とは何でしょう?つまり、人が心をポジティブに使うかネガティブに使うかを決めるものはなんですか?
悪魔:人間関係だ。誰でも、意識的か無意識的かを問わず、親しく付き合っている人たちの思考習慣に影響されるからだ。
ヒル博士:ネガティブな思考習慣をもつ人と付き合っていると、その思考が伝染してしまうということですか?
悪魔:そうだ。催眠リズムの法則によって、誰もが環境に合わせた思考習慣を持つようになる。特に大きいのが、周りにいる人間からの影響だ。
ヒル博士:親しく付き合う相手は、慎重に選ぶべきだということですね?
悪魔:健康のために体に良い食べ物を選ぶときと同じくらい慎重に選ぶべきだ。前向きで友好的、調和の精神を持つ人と付き合うことが大切だ。
ヒル博士:最も影響力が大きいのは誰ですか?
悪魔:配偶者や家族、職場の同僚。その次に、親しい友人や知人が続く。
(p.320,321)
仏教では友人を大事にしなさいということを繰り返し教えられる。ダンマパダやウダーナヴァルガといった初期経典には、良くない友人と付き合うことは、仇敵と一緒にいるようなものだと言われている。そして自分と同等かそれ以上の人と出会わなかったならば、犀の角のようにきっぱりと独りで行け、と断言されている。
ヒル博士:近親者のせいでネガティブな環境の影響を避けられない人の場合はどうでしょうか?
悪魔:いかなる人間も、ポジティブな環境で思考習慣を育むという特権を他人によって奪われるべきではない。ネガティブな思考習慣が身につくような影響は、できる限り環境から取り除くべきだ。
ヒル博士:人間関係はそこまで割り切って考えるべきなのでしょうか?
悪魔:強いものだけが生き残る。ネガティブな思考習慣を生み出すあらゆる影響から身を遠ざけなければ、強くはなれない。原因が何であれ、誰であれ、ネガティブな思考習慣があると、自分の意志で人生を切り拓いていく力が弱まってしまう。
ポジティブな思考習慣は自分でコントロールしやすいので、目標の達成に役立てられる。一方、ネガティブな思考習慣には振り回されてしまうので、自分で物事を決定できなくなる。
ヒル博士:思考習慣を形作る環境の影響をコントロールできる人は運命を支配でき、それができない人は運命に支配されるということですか?
悪魔:まさにその通りだ。
ここで重要なのはコントロールという言葉だろう。
思考習慣を形作る「環境(縁)」の要素、」それは結婚相手、家族、仕事でともに目標に向かって働く同僚ということ、そして親しく付き合う友人などがそれにあたる。しかし、それらをコントロール下(支配下)におく人は、運命をコントロールできる。しかしそうでなくネガティブな思考習慣を植えつけてくるもの、勢いで結婚した配偶者、言うことを聞かない家族、そういうものに振り回されている人は、環境によって、運命によって支配されていく・・・。
よく心の刻んでおきたい原則だ。偉人はみな、友人・知人・配偶者・家族など、身の回りにいる人に気をつけろと言っている。仏教では善友、善知識と呼び、善き友のことを褒め称えている。そして悪友、悪知識と区別し、悪友・悪知識からは遠ざかれ、善知識に親しみ近づけと諭している。
・第7原則:警戒心
最後の原則は警戒心だ。短い章だが、貴重な箴言になるだろう。
悪魔:警戒心の欠如は、惰性の習慣に次いで、最も危険な特性だ。人間が落とし穴にはまり込むのは、警戒心を持たず、十分な計画を立てないまま行動するからだ。惰性的な人間には警戒心が欠けている。行き当りばったりで行動し、後で考える。
人間関係でも、相手を選ばずに誰とでも付き合うので、まんまと利用される。職業を慎重に選ばず、学校を出るととりあえず見つけた就職口に飛びつき、そのまま何も考えずに働き続ける。ビジネスのルールを学ばないので、簡単に相手に騙される。健康のルールを学ばないので、すぐに病気になる。貧困がはびこる環境から身を守ろうとしないので、貧乏になる。他人が失敗する原因を注意深く観察しようとしないので、自分自身も失敗する。恐怖の原因に目を向けないので、何に対しても恐怖を抱く。配偶者を慎重に選ばず、結婚後も良い関係を築こうと努力しないので、結婚に失敗する。良好な関係を築くことに注意を向けないので、友人を失い、敵に回してしまう。
(p337,338-強調点引用者)
惰性の習慣に次いできけんな特性が、警戒心のなさだ。悪魔はそのように断言する。配偶者、仕事などさまざまな要素において警戒心をもち、慎重に行動しなさい。ヒル博士はそのように諭している。
・この本で一番博士が伝えたいメッセージ
博士のメッセージ、その一番重要な点をあとがきに聞いてみよう。
私たちが心に強く抱く願望は、明確な計画に裏打ちされた明確な目標を持つことによって、催眠リズムと時間という自然の法則の助けを借り、物理的な同等物として現実化する!
(p.351)
「明確な目標」をもち、それを達成するための「明確な計画」を立て(AIの助けを借りてもよいだろう)、そこに向かって時間・体力・お金を可能な限り注ぎ込んでいくこと・・・!
そして逆境に遭遇しても本質的な敗北以外は、成功に至る一里塚と考えること。
そして最も大事なことは、どんなときも惰性の習慣に陥らず、最後の最後まで自分の頭で考え抜くこと!
僕はこの本からこのような宝物を受け取った。みなさんはどう思うだろうか。気になった方は、長く引用文を設けたが、最後は自分の手で本書を読み解き、自らの血肉に変え、人生を逞しく生きるよすがにしてもらいたいと思う。
(了)